能力をほめることは、子どものやる気を蝕む

2019年9月6日

 教育の現場はもとより、社会全体を見渡しても一昔前と比べて「パワハラ」や「セクハラ」的な現象は減っているようです。
 私が学生の頃は、どの学校にも暴力的な教師は存在していたし、会社の中でも色んなハラスメント的な事は多かったように思います。

 そんな環境の昨今、対人関係において、「叱る」ことで相手をコントロールしようとすると、ハラスメントに近くなることが多いことから、「褒める」ことで相手をコントロールする方法-つまり「褒めて育てる」やり方が主流を占めてきているようです。

 しかし、この「褒め育て」やり方を間違えると子供のやる気を蝕んでしまうという恐ろしい研究結果がコロンビア大学のミュラー教授らによって発表されているのです。

「褒められて伸びるタイプ」は伸び悩む!? 

 時々「自分は褒められて伸びるタイプです。」などと甘っちょろいことを言う人が居るが、そんな人はただ「自分か叱られたくない」だけの人でそんな人は伸びないというお話です。

 人は誰しも、叱られるよりは褒められる方がいいに決まっています。しかし、幼いころから親に叱られもせず褒められ続けて育った子どもは、社会に出て幸せになれるでしょうか?

 自尊心が高く自分に自信があるという事は一見大事なことのように思われますが、子どもが何かを成し遂げた結果として自分自身に自信を深めることはいいのですが、子どもに何かを成し遂げさせたいがために、周囲の人間が子どもの能力を褒めて育てようとすることは、逆に子供のやる気を蝕んでしまいかねないーという実験結果が発表されています。

子供のもともとの能力(頭の良さ)を褒めると子供たちは意欲を失い成績が低下する   

コロンビア大学のミュラー教授らの実験では、子供たちをランダムに2つのグループに分け、1つのグループの生徒に対してはテストの結果が良かった時に「あなたは頭が良いのね」と子供らのもともとの能力を賞賛するメッセージを伝え、もう一方のグループに対しては「あなたはよくがんばったわね」と努力を称賛するメッセージを伝える―。

 このように2種類の褒め方がその後の子どもたちにどのような影響を及ぼすのかを調査する実験が行われました。 

 その結果、分かった事は「子供のもともとの能力(頭の良さ)を褒めると子供たちは意欲を失い成績が低下する」ということでした。

「褒め育てられた子ども」は失敗に弱い子になる!

 褒め方の違いは子供たちの取り組み方にどのような影響与えたのでしょうか?

 「頭が良いのね」ともともとの能力を褒められた子供は良い成績が取れたときにはその理由を「自分は才能があるからだ」と考えたように悪い成績を取った時も「自分は才能がないからだ」と考える傾向がありました。

 一方「よくがんばったわね」と努力した内容を褒められた子供たちはたとえ悪い成績を取っても「それは(能力の問題ではなく)努力が足りないせいだ」と考えたと分析しています。

 つまり、失敗したとき(成績が悪かった時)に能力を褒められた子どもは「自分に能力はないからしょうがない」とあきらめてしまう傾向が強く、努力を続ける子どもに比べて成長スピードが鈍化してしまうという実験結果が得られたのです。

「努力する大切さ」を教えることが大事

子供を褒めるときには「あなたはやればできるのよ」ではなく「今日は1時間も勉強出来たんだね」「今月は遅刻や欠席が1度もなかったわね」と具体的に子供が達成した内容を上げることが重要です。 

 そうすることによって、さらなる努力を引き出し難しいことでも挑戦しようとする子供に育つということがこの研究から得られた知見なのです。

参考文献 「学力の経済学」中室 牧子(Discover21)

【自己肯定感を育てる褒め方】能力を褒めてはいけない。努力を褒める。

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