日本のサラリーマンの働き方は病んでる!?

2020年6月14日

「働き方改革」なるものが、始まるらしい。
労働力の担い手である労働人口が減少する環境において、一人の労働時間を増やすことなく全体としての労働力を一定数確保するための施策です。
つまり、①今まで働いてなかった人たちにもっと働いてもらう。②今まで働きすぎだった人には働くペースを緩めてもらう。この2点を同時に行っていこうという事ですね。
 労働生産性を落とさすにこの課題をクリア―することはなかなか難しそうです。
それでは、世界基準から見た今の日本人の働き方とはどのようなものなのでしょうか?

日本人は世界で2番目の働き者

 日本人は「真面目で勤勉」という事は昔からよく聞かされてきましたが、データをみるとやはり15〜64歳男性の平均労働時間は世界で2番目の長時間労働になっています。

 但し、長時間会社に拘束されていても、その間ずーっと仕事をしているとはがぎりません。 
 一昔前までは、「午前中は新聞を読み、昼からは得意先の人と喫茶店で談笑し、定時になったら雀荘で社外会議」みたいな人が各部署に1人くらいは存在してたのですが、もしかしたらそういう人たちは絶滅してしまっているのかもしれませんね。

 個人的な実感としては、会社に長時間いる人は「会社の居心地がいいと感じている人」「残業代を稼ぎたい人」が大半で本当に仕事に忙殺されているような人は少なかったように思います。

  「会社の居心地がいいと感じている人」は「会社にいてストレスを感じない人たち」です。
 つまり大体は、ある程度会社での地位を築き、部下からの突き上げを抑え込む暴君タイプの 部長クラスの人物ですね。

 こうゆうタイプの上司の下で働く部下たちは、「上司より早く帰るわけにはいかない」等々訳の分からない心理的な圧力のもと、ずるずると会社に居残ってしまうー。みたいな悪い習慣も残っていて労働時間を押し上げてしまっているのかもしれません。

出所:OECD労働時間調査

日本人の労働生産性は世界最低

 世界でも有数の長時間働いている日本人ですが、悲しいことに成果は伴っていないことが判明しています。

 日本経済のいちばんの問題点はこの労働生産性が低いことです。なんとOECD36カ国中22番目、先進7カ国の中ではずっと最下位の有様です。

 事実として、日本の労働者が生み出す一人当たりの利益はアメリカの労働者の66%でしかないのです。

日本人の会社への忠誠心は世界最低

  高度成長期の頃からの日本企業は「終身雇用制度」により、従業員を定年まで雇い続ける時代がありました。

 企業に就職するという事は、「企業は社員の一生涯の面倒みる」代わりに「社員は生涯を企業に捧げる」みたいに、あたかも企業と結婚するかのような企業と従業員の甘い蜜月の関係が成立していたのです。
 「モーレツ社員」や「エコノミックアニマル」といった、その当時のサラリーマン達が仕事に打ち込む背景には、このような自分が働いている会社に対する信頼感や帰属意識がベースにあったと思います。

 しかし、高度成長期が終わり経済が成熟期を迎えると、企業活動は停滞感が漂い。雇用調整をふくむリストラの嵐が吹き荒れると、企業と従業員の関係性も変化していきました。
 
 企業と従業員の甘い蜜月時代は終焉を迎えようとしています。
 
 会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながりを評価する指数として「エンゲージメント指数」が使われます。
 エンゲージメント指数の高い社員は仕事に対してポジティブで、会社に忠誠心を持っています。反対にエンゲージメント指数が低い社員は、仕事に対してネガティブで会社を恨んでいるというわけです。
 
 日本はというと、各種のエンゲージメント指数国際比較調査によると、そのほとんどで最下位であることが示されています。(ついでに言うと「雇用環境や仕事に対する満足度調査でも最下位)

 一時は、企業と社員は一つ屋根の下で暮らす家族のような絆で結ばれた存在であり、社員は企業のために「モーレツ」で「アニマル」のような働き方をする、世界でも恐れられた存在であった日本人サラリーマンの姿はもうここには存在しないのです。

 これらの不都合な事実からは「仕事に対すするモチベーションは低く、会社を憎んでいて、過労死するほど長時間働いても成果をあげられない日本のサラリーマン」の現実の姿が浮き彫りにされています。

流出する人材

 これらの事実からは、「企業に長時間拘束されながらも成果は上がらす、仕事のやる気は失せ会社を恨んでいる」といったかなり病んでるサラリーマンの姿が想像されます。

 こんな状態の日本企業ですが、さらに追い打ちをかけるような悲惨な事実が表面化していますー「優秀な人材の海外流出」です。

 日本を代表する通信会社であるNTTでは「研究開発部門の優秀な人材の3割が、35歳になるまでにGAFA(google apple facebook amazon)などに引き抜かれてしまう」と言われています。

   人材や資本が国境を越えて自由に行き来するボーダレスな自由主義経済下では、魅力のない国や企業はどんどん負のスパイラルに陥り衰退してゆきます。

 「働き方改革」の背景にはこのような、負のスパイラルに陥りかけている日本と日本企業の状況があるのです。

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Posted by 無頼庵