[アドラー式]競争とクレームのプレッシャーから楽になるメソッド

2020年6月14日

アドラーは「すべての悩みは人間関係の悩みである」と語っています。
逆から言えば「人間関係の悩みが無ければすべての悩みから解消される」と読み解くこともできます。
人間関係の悩みから解放されるためには、どの様な心構えが必要なのでしょうか?
アドラー心理学にはその為のヒントが隠されています。
僕自身は人間関係の悩みというと「他者との競争」と「他者からのクレーム」が大きいのではないかと感じています。
さて、アドラー式のライフスタイルにおける「競争」と「クレーム」の対処法を考えてみたいと思います。

アドラー心理学における競争とクレームの考え方

アドラー心理学ではまず、他者と競争することも他者からのクレームに対応することも基本的には否定されています。

他者との競争を否定する理由

・他者と競争するということは、周囲は敵のライフスタイルが背景にある。
・競争の結果、勝者と敗者を生み出すことなる。敗者になれば他者に劣等コンプレックを持つようになる。
・例え、勝者になったとしても、永遠に勝ち続けることなどできない。
・敗者になる恐怖と戦う毎日になる。

他者からのクレームに対応することを否定する理由

・他者が自分に対してどのような評価を下すのかは「他者の課題」であり自分の課題ではない。
・他者から認められたいという欲求(承認欲求)を否定する。
・自分は他者の期待を満たすために生きているのではないし他者も自分の期待を満たすために生きているのではない。

しかし、これらをそのまま受け止め現実社会で生きて行くことはなかなかに困難なことですよね。

例えて言うなら

「業績を競いあわず、顧客からのクレームを無視するセールスマン」

「ポジション争いに参加せず、コーチからのアドバイスを無視する野球選手」

みたいなのもです。

周囲から完全に浮いた存在になり人間関係の悩みが倍増することは容易に想像できます。

しかし、「業績争いと顧客からのクレーム対応にストレスが溜まりまくっているセールスマン」

や「ポジション争いに疲れ果て、色んなコーチからのアドバイスを全て取り入れた結果自分のフォームを崩してしまった野球選手」

の存在は珍しいものではありません。

むしろほとんどの人が当てはまる部分を感じてしまうんではないでしょうか。

理想としては、「業績を挙げクレーム対応もこなしながらストレスを溜めないセールスマン

ポジションを得るために努力し、コーチのアドバイスを聞きながら自分のフォームで成績を残す野球選手」になることですよね。

アドラー式の取り組みかたを考えていきたいと思います。

アドラー式競争の捉え方

他者との競争は否定するアドラーですが、「優越性の追求」は人類の普遍的な欲求であるとされています。

「優越性の追求」とは他者と比較するのではなく、「理想の自分」に向けて歩み続けることです。

つまり、比べる対象は他者ではなく理想の自分自身という事なのです。

アドラー式クレームの捉え方

アドラーの対人関係の基本スタンスは「課題の分離」と「承認欲求を否定する」事です。

自分自身に向けられたクレームであったとしてもそれは「クレームを言った本人の課題」なので自分自身は他人の課題には踏み込まないというスタンスをとります。

現実問題として、他者との競争やクレームにいちいち対応していては身が持ちません。

課題の分離とは

アドラー心理学における対人関係の基本的スタンス。
「その選択によって、もたらされる結果を引き受けるのは誰か?」という視点から、自分の課題と他者の課題を分離して「他者の課題には踏み込まない」という姿勢、考え方のこと。
対人関係では、「自分のことをどのように受け取るかは他者の課題であり、自分の課題ではない」と割切ることが大切。
他者の課題に介入すること、他者の課題を抱え込んでしまうことは、自らの人生を重苦しいものにしてしまう。
「ここから先は自分の課題ではない」という境界線を知り他者の課題は切り捨てる。そのことが人生の荷物を軽くし、人生をシンプルにする第一歩である。

嫌われる勇気「課題の分離とは何か」

競争相手は自分自身

他者の動向を観察して自分の足りないところを知る事やクレームを分析して自分自身を見つめ直すことは有効です。

つまり、アドラーのいうところの「優越性の追求」に視点を変えるということが大切です。

そこでは、「他者のストロングポイント」や「クレームで指摘される自分のウイークポイント」を見出し自分自身に取り入れるか否かは、自分自身で決めるという意識づけが大事なのです。

「他人がやってるからやる」「他人に言われたからやる」ではなく「やると決めたのは自分自身」なのです。

競争もクレームも他者からの刺激なので、「課題の分離」を行った上で刺激を「理想の自分自身」にどのように取り入れるかは自分で決めます。

競争もクレームも「他者からの刺激」から「理想の自分自身の追及」へとベクトルが変わります

外から自分に向けられる刺激から自分の内面から湧き出る刺激へと変質するのです。

そのように考えられると、競争もクレームも自分自身で受容し、ストレスなく対処できるようになります

ハンドルは他人任せにしない

あくまで、主導権は自分自身にあることが大切です。

ハンドルを他人に任すことは絶対にしてはいけません

課題の分離が上手くできていない人は、自分自身で気づかないまま他人にハンドルを握られていることがあります。

他人にハンドルを任せた状態では、どこへも辿りつきません。

世間では、右や左とやたらにハンドル操作に口出す人が多いですが、ハンドルを握るのは自分自身であり誰にもハンドルを渡さないという覚悟を持つ勇気が必要なのです。