繋がるけれど出会えないSNS

2020年6月14日

最近はつながりたい人が増えているらしい。

LINEやFacebookそしてTwitterなどSNSを通じてフォロワー数を伸ばすことを競いあっているようです。

しかし、そこでは本当に人と人が出会える場所になっているのでしょうか?

誰でもがメディアを持てる時代

まだ見知らぬ誰かと交流をするという事はワクワクしますね

特に10代や20代の若者にはたまらない魅力があると思います。

僕も10代や20代ならばSNSのフォロワー数を上げることにひょっとしたら夢中になっていたかもしれません。

ただ僕らが若い頃には、メディアと言えば雑誌ラジオテレビが主流でいわゆる素人がメディアに乗って何かを発信するという風な事は特別な人でない限り無理なことでした。

僕らが若い頃にはパソコンもなかったし、見知らぬ誰かと交流するなんて事は怪しげなテレクラか若しくはミニコミ誌位が関の山でした。

つまり一個人が情報を発信するなどと言う事はまず不可能に近かったのです。

それに比べて今日では個人のつぶやきでさえTwitterで発信できます。

自分が雑誌の編集者に成りたければブログを開設すれば、編集長になることは簡単です。

しかも理論的にはブログをアップした瞬間に、世界中の誰でもが気軽にそのブログにアクセスできる環境にあるわけです。

インターネットのない時代にはそんな事は無理でした。

僕は昔小さなミニコミ誌を創っていた頃があります。雑誌を作っては、その作った雑誌を抱えて本屋さんをめぐり委託販売をお願いして回りました。

そして次の号が出るタイミングでに古い雑誌を回収して売り上げを立てるー。(ほとんど売れないわけですけれど)

そんな苦労して自分たちの作った雑誌を世の中の人に届ける手段は、ほんとに本屋ルート位しかなかったんですよね。

それから比べると今は本当に便利になりました。インターネットを使えば速攻です。

飛躍的に増えたメディアを通じて出会える人の数!

雑誌の編集だけではありません。YouTubeを使えば自らが放送局にもなれてしまう時代です。

しかもほとんどはお金はかかりません。

インターネットの環境とスマホ1台があれば自らが放送局となって、自分が撮った映像を世界中に発信できるそんな時代です。

若い頃の僕は「人生で出会う人の数はたかだか知れているけれどもメディアを通じて出会う人の数は何倍にでもできる」という言葉に夢を感じていました。

しかしこれだけ情報発信が手軽になったら現在、どれだけの人と出会えているのか?というとそれほどでもないと答えるでしょう。

確かにYouTubeは面白いメディアです。

映像メディアへの露出と言う点から見るとテレビしかなかった時代に比べるとであえる人物は何倍にも膨らみました。

が、しかし便利になったと言う実感はあっても、本質的な部分で人との出会いが増えたと言う実感は正直ありません。

本質的な人の出会いはジャングルの中?

表面だけではその人の本質はわからないのです。

本質的な人との出会いとはどんなものなんだろう?

これだけ、人と人とが繋がる手段が増えインターネットを介して僕たちは新たな出会いを繰り返している訳ですが、それが本当に人と人の出会いに繋がっているのだろうか?

現実に人にあって100回話すより、その人が心を込めて創った作品に触れることの方が、その人の本質に出会える」という意味のことを音楽評論家(渋谷陽一氏)から教わったことがありました。

そのことは意味は、これだけ出会いの場が拡大した現代においてより心に響いてきます。

これからも、空虚な出会いの機会はますます増えてゆくことでしょう。

その中で、本質的な意味で人と人が出会えるメディアは昔に比べてむしろ減少しているのかもしれません。

昔は、砂漠で咲く花を見つけるように貴重な出会いがあったように思いますが、今は雑草が生茂るジャングルの中で、可憐に咲く花を見つけなければならないというような難しさを感じてしまう今日この頃です。