[アドラー式] 褒めない叱らない子育てスタイル

2020年6月14日

 子育てをしていると、「褒めて育てる」か「叱って育てる」どちらの方がいいんだろう?などと悩むことがあります。

「褒めて育てる」方が、自分に自信が持てそうな気がしますが、かといって「叱かられない子ども」は甘ん坊で自己中心的な子どもになりそうな気がしますよね。

現実的には、場面に応じて「褒める」のか「叱る」のかを判断している訳ですが、「嫌われる勇気」で有名になったアドラー心理学では、「褒める」ことも「叱る」ことも否定しています。

「褒めない」「叱らない」子育て(人間関係)とは、一体どのようなものなのでしょう?

褒めない叱らない 育て方とは

 結論から述べると「褒めない叱らない」育て方とは「勇気づける」事です。

アドラーは、親子関係を含む人間関係において「縦の関係」を否定しています。

縦の関係とは、上下関係であり主従関係でもあります。

アドラー心理学の人間関係の基本は「人は生まれながらにして、同じではないが対等の関係である」とされています。

つまり「縦の関係」ではなく「横の関係」であるべきだと。

「叱る」と行為は勿論ですが「褒める」という行為も実は縦の関係性から発せられる上から目線の言葉であることが多いのです。

例えば、上下関係の厳しい野球部活で勝利した先輩に向かって後輩が「よくやりました」とは言えないですよね。場合によっては先輩を怒らしてしまうかもしれません。

逆に先輩が後輩の向かって「よくやった」ということは普通にあります。

これは「褒める」という行為には上から下に見下ろしているというニュアンスが多分に含まれているからです。

アメとムチによる操作を止める

 親子関係で見ると、親が子どもを「褒める」ということは普通に行われていますし、むしろ「褒め育て」は子どもの自信を深めるにも良い行為だとされています。

しかし、アドラーは親子関係においても「縦の関係」を否定します。

「褒める」ことも「叱る」ことも否定しています。

それは、言い換えれば「アメとムチ」を使って相手を操作していることになるからです。

「アメとムチ」に上手く反応できることが、子どもの成長には繋がらないと考えているのです。

むしろ、相手枠の中でしか行動できない子どもになってしまう危険性があるー。

つまり親から操作されないと行動できず、自らの意思で自発的に行動する意欲を蝕んでしまうという訳です。

他者は敵か味方か?

 縦の人間関係は他者を自分より上か下かで判断することにより、相手との優劣の関係が生じてしまいます。

これは「他者は競争相手=敵」であるという世界観を持つことに繋がります。

この世界観がこの後に述べる「子どもを勇気づける」際の障害になるのです。

失われた勇気を取り戻す

 「アメとムチ」による操作に変わる接し方が「勇気づけ」です。

勇気づけ」とは、子供が「自らの課題に立ち向かっていけるよう」に援助することです。

子どもが勉強やスポーツや友人関係などで、乗り越えてなければならない課題を親からの「アメとムチ」による操作ではなく自発的に行動できるように勇気づけるのです。

アドラーによると自らの力で課題に立ち向かえない子どもは、「勇気が挫かれている状態」であると捉えられています。

それならば、親の言うことを守らせることよりも、子ども自身の「勇気を取り戻すこと」こそが重要だと説いています。

親は初めて体験する社会そのもの

 アドラーによると、人は「自分の存在が社会に認められ、社会に貢献できているという=有能感」と「自分以外の他者は「敵」なのではなく「仲間」なのだという=所属意識」が備わったとき、人は自分の課題に立ち向かう勇気を持つ事ができると言います。

上記の「社会」「他者」は「親」と読み替えることができます。

つまり親は子どもが初めて体験する「他者」であり「社会」そのものです。

親との関係性が子どもの社会と関わる世界観の基本となり、子どものライフスタイルに大きな影響をもたらすものになるのです。

[まとめ] アドラー式子育てスタイル2つの原則

 つまり、親の立場からすると

❶「子ども」は親と対等の関係である「仲間」であるという世界観で接すること。

❷「子ども」の存在そのものを認め感謝し、それを言葉や態度で示すことにより子どもに有能感を感じさせる。

この二点が実現する事で、きっと子ども達は仲間たちに囲まれた社会で臆することなく、自分の人生を勇気を持って歩んで行く力を獲得してゆくことでしょう。